千田好夫サロン


  雨上がり

いくつもの水たまりが

街の灯りを映し出す

通りには人もまばらで

季節はまだあたたかい

手をつないで歩きたいな

うん、できればね

そういってたたずんだ

赤の記憶――

行きついた場末のカラオケバー

何を歌ったか覚えちゃいない

何をしゃべったか覚えちゃいない

ただ、松葉杖じゃ床がすべってあぶなくて

肩を寄せて歩いた僕らに

何の未来もないって、だけは覚えてる